「編集」という言葉を広義にとらえたとき、その概念は、文字や図像を扱う書物など の紙メディア、映画・TVなど動画や音声を扱う映像メディア、Webなどのデジタルメ ディア、演劇、プレゼンテーション、イベント企画など、あらゆるコミュニケーショ ン・デザインに及んでいると思われます。しかし職能からみた場合には、「デザイナー 」と「編集者」の位置付けは異なるという現状があります。では「デザイン」と「編集」の意味するところは、どのように重なるのでしょうか。そもそも「編集」とは何 なのでしょうか。
今回のシンポジウムでは、グラフィックデザインの周辺で執筆・編集活動をされてい る編集者の古賀弘幸氏と、コンピュータメディアを中心に多面的活動をされているグ ラフィックデザイナーの美柑和俊氏をお迎えします。 企画設計からはじまり、取材などの情報収集、情報の整理や構造化、様々なメディア に定着される文字や図像、紙やモニターといった素材やデバイスなどの物質的側面、 さらにはそれぞれのメディア特有の構造やフォーマットなど、編集にまつわる様々な 要素を手がかりに、書物やWebなどの媒体における編集とデザインの諸問題ついて、 具体的な事例を通して掘り下げていきたいと思います。
これらの語り合いを通して、コミュニケーション・デザインの根底に潜む「編集」と いう行為を再認識することにより、デザインのプロセスをより明確にできるのではな いかと考えます。「編集とは何か?」を皆さんと共に探り、デザインや教育の現場に 活かしていく可能性を探りたいと思います。


日時

2005年11月27日(日)
12:30 受付開場 13:00 シンポジウム開始

場所

武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス 9号館211教室
会場地図/交通機関はこちら

参加費

一般 オーディエンス 1500円
会員 カメレオンプロジェクトメンバー・メイト 1000円

主催

カメレオンプロジェクト

問合わせ先 

カメレオンプロジェクト事務局 
※参加希望の方は、11月23日までに上記事務局宛に参加希望の旨をメールにてお送りください。
※懇親会参加希望についても合わせてご連絡ください。


<シンポジウムプログラム>

はじめに
棚橋早苗氏
(司会進行)
13:00−13:10
プレゼンテーション
「編集/デザイン/書物」 13:10−14:10
古賀弘幸氏(編集者)
書籍編集者。グラフィックデザイン、タイポグラフィ、書道史などに関心があるが、現在最も関心があるのは、世界や身体……等々のメタファーとしての「書物」論。現在『d/SIGN』(太田出版)に「エディトリアルデザインの細部」を連載中。
1961年福岡県生まれ。法政大学文学部卒業。書道・美術などの雑誌・書籍を出版社で手がけた後、現在フリーランス。句読点研究会同人。
http://www.t3.rim.or.jp/~gorge/
http://blog.livedoor.jp/gorge_analogue/

【内容】
「書物」はおおよそ2000年もの間、情報伝達を可視化し、効率的に保存するためのツールとして人類がもっとも親しんできた形式である。このことが「書物」を人間にとってのさまざまな世界認識のためのメタファー……生、死、夢、身体、建築、都市等々の似姿として機能することを可能ならしめてきた。編集、デザインという行為を単なる職分として考えるのではなく、「編集=デザイン」として考えた場合、その対象が書物にとどまらなくなっている現在においても、そして画像やテキストデータがデジタル化され、細切れにカット&ペーストされ、単なる情報コンテンツとして消費されているような現在でも、それらの包括的なモデルとして「書物」がありうると思う。編集者としての経験を紹介しながら、だいたい以下のような項目にそって「書物」の形式がもつ、広範囲でメタフォリカルな可能性を考えてみたい。
1. 自己紹介
2. コミュニケーションモデル/メディア環境の中の編集=デザイン
3. 書物の簡単な歴史
4. 書物という形式
5. フレーム-1.行とページ
6. フレーム-2.ページから本へ
7. メタファーとしての書物
8. 編集とデザインと〈書物の言語〉

*休憩(10分)

「デザインに潜む編集」 14:20−15:20
美柑和俊氏(グラフィックデザイナー・カメレオンプロジェクトメンバー)
1977年山口県生まれ。2000年、視覚伝達デザイン学科を卒業後、松岡正剛主宰の編集工学研究所に入社。書籍、ウェブサイト、ソフトウェアのイン ターフェイス、映像、イベントのグラフィック等、幅広い分野のデザインを企画設計の段階から担当。2004年にフリーランスとなり、メディアや職能を超 えたデザイン活動を展開。

【内容】
大学でエディトリアルデザインに出会い、卒業後、「編集工学研究所」という名の会社に就職した。現在はフリーランスデザイナーとして、企画構成・デザインのみならず、予算・スケジュール管理まで職能横断的にこなさなければならない中、やはり「編集」というキーワードがどこか垣間見えてくる。自分の行為自体が「デザイン」なのか「編集」なのかと考えることも多い。
そんな日々のデザイン実務の中で、とりわけ編集的だと感じた以下のような点から、デザインに潜む「編集」を探ってみる。

●ウェブサイトにおけるテキストとタイポグラフィ
ウェブ上では、「テキストデータ」の文字と、「画像として」の文字がある。
一般的には、テキストとしてコピー&ペーストできるものが、テキストとして扱われる。画像としての文字はテキストとして扱われない。Adobe Illustrator等でも、テキストとして作成したデータが、アウトラインの機能を使った瞬間に、テキストでなくなる感がある。
では、これらの「テキスト」と「文字」の関係とは何なのだろうか?
また、そこから広がるウェブデザインの可能性とはどういったものだろうか?

●構造を考えるデザイン
情報を扱うデザインでは、それらの情報が意味を成すためにある構造を持っていることが重要である。とりわけ、従来のメディア感覚と異なり、なおかつ情報量の多いデジタルメディア上では、人間の自然な認知のためにも「構造化」は重要視されている。
では、情報を構造化するとはどういうことだろうか?
それらをデザインの表現としていくためにはどうすればよいのだろうか?


*休憩(15分)
ディスカッション  
「デザインと編集をめぐって」

進行 棚橋早苗氏
(カメレオンプロジェクトプロジェクトメンバー)

15:35−17:00

懇親会(参加費3000円 )

17:30−